2011年度 社団法人調布青年会議所
理事長所信
理事長 原島 秀一
【スローガン】
『やさしさ溢れる使命感』と『誇り』を胸に私たちは行動する
〜「ひと」が「ひと」にやさしく思いやり溢れた社会であるために〜
【はじめに】
私たち(社)調布青年会議所は、1970年の設立以来「明るい豊かな社会の実現と次代を担うリーダーの育成」という理念のもと、「社会開発」と「指導力開発」をその活動の両軸としながら、その時々の「まち」「ひと」の変化に合わせて、地域社会とともに丁寧な歩みを続けてきました。
創立40周年を迎えた昨年、私たちは、過去を振り返る過程を通して、多くの方々に支えて頂き、そして、諸先輩方の想いや行動によって今の私たちがあることに感謝するとともに、将来に向けて私たちが、「まちの中で必要とされ続ける存在」でなければならないことを強く再認識する機会を得ました。
未来に向けて新たな一歩を踏み出す本年、私たちは、青年会議所の理念を決して忘れることなく行動し続けることが大切であると考えます。
社会の価値観が多様化している現在、私たちが変化に対応して行動し続けるためには、決して本質を見失うことなく、私たちメンバー一人ひとりが青年会議所の理念を常に再確認し共有しながら、主体的に行動することが必要です。
社会を構成しているのは「ひと」です。明るい豊かな社会とは、まちに営む「ひと」が笑顔に満ちあふれ、「ひと」が「ひと」にやさしく思いやり溢れた社会であると私は考えます。その実現に向け、豊かな心と自立心を育むことを目的に、メンバー一人ひとりの「やさしさ溢れる使命感」と「誇り」を確かものとし、2011年度は更なるメンバー相互の絆を深め、組織として「ひとの力」を蓄えながら、その力を「まち」・「ひと」に対して展開してまいります。
【まちづくり】
〜市民の一員としての『自覚』と『やさしさ溢れる使命感』を持ち、
自立した市民による『まち』と『ひと』を愛する社会の実現を目指す〜
昨今、わがまち調布は、人口が22万人を超え都市化が進みました。調布に限らず社会全般に言えることですが、人と人とのつながりが希薄になり、隣に困っている人がいても見て見ぬふりをする、他人に迷惑をかけなければ何をやっても許される、「自分さえよければいい」といった自己中心的な考え方をする人が増えてきているように感じられます。
また、先人たちの大変なご苦労により、経済的・物質的には非常に豊かな社会となりましたが、どこかに「閉塞感」が漂い、「何をしても変わらないのではないか」というあきらめに似た感じが、はびこっているように感じられます。
「人との関わりから生まれる人を愛する心」、言い換えれば「わがまちとそこに営む人の事」を「わが事」と捉える心が育みにくい環境にあるのではないでしょうか。
まずは、私たちメンバー一人ひとりが地域社会の一員であり、「自分たちのまちは自分たちでつくる」という自覚を持つことが大切です。そして、私たちの運動が自分本位とならないよう、社会の問題点を常に情報収集し、私たちの運動に活かしていく努力を絶えず続けていく必要があると考えます。
自分本位ではなく、他人のことを思いやり、「ひと」と「ひと」とのつながりが感じられるような、豊かな心と自立心を持った「ひと」を多くつくることが明るい豊かな社会につながると考えます。その大きな目標に向かって、私たちメンバー一人ひとりは、「私たちの住むまちの明るい豊かな明日のために、まちの問題点を市民の中から掘り起こし、市民とともにその解決をはかる」とういうJCの社会開発運動の原点を忘れることなく、行動し継続することが大切な使命なのです。
【地域産業経済活性化】
〜地域経済の先導者としての自覚を持ち、
地域ブランドの風を巻き起こすことで地域経済の発展を目指す〜
「まち」に活気が満ち溢れれば、そこに集う「ひと」には笑顔が生まれるはずです。自分たちの「まち」に誇りを感じることができれば、そこに営む「ひと」を愛する心が芽生えるはずです。まちに営む「ひと」の豊かな心を育むために、地域産業経済の活性化は必要不可欠であります。しかしながら、青年会議所は経済活動に特化した事業を行う団体ではありません。私たち青年会議所が行う地域産業経済活性化事業とは、「地域の人が地域の産業に誇りや、希望・夢を抱くことができる」ように、「ひと」と地域の産業がつながる運動を起こしていくことだと考えます。
JCの持っている多彩なネットワークや地域特性を活かした新しいブランドの展開、新しい地域資源の調査・研究・問題提起など、地域経済が光り輝くために青年らしいのびやかな発想と行動力を活かして、今こそ地域経済の主体者として勇気を持って行動していきましょう。
また、地域経済活性化を語る上で忘れてはならないことは、私たちメンバー一人ひとりが、可能性と向上心を持ち合わせた地域の青年経済人であるということです。青年経済人として、自身の仕事のよりよい発展のために、経営資質の向上や組織・経営基盤の強化に取り組むことは勿論大事なことです。しかしながら、地域の青年経済人として、自身の仕事と地域経済の発展を同時に願うのであれば、自身の仕事が、地域(ひと)との関わりの中で活かされ、地域(ひと)から必要とされていることを常に認識することが大切なのではないでしょうか。
地域経済が光り輝くために、私たち自身の仕事が地域から必要とされるように、私たち自身が地域経済の先導者としての自覚を持ち、その力と情熱を地域に広げていきましょう。
【青少年健全育成】
〜夢と希望を抱いた豊かな心溢れる『未来を担う宝』を、地域ぐるみで育む〜
現代は物質的に非常に豊かな社会になりました。しかしながら、目を覆いたくなるような子どもたちを取り巻く犯罪や、いじめや不登校の問題などは、私たち親世代のモラルの低下と、子どもたちの心の豊かさが不足していることが一因ではないでしょうか。
私たちが子どもの頃は、親や地域の大人から沢山の愛情をもらい、遊びの中で、子どもなりの社会を形成し、協調性や、我慢すること、相手の痛みを知り相手を思いやる心などを自然と学んでいったように感じます。
しかし、現代は核家族の増加に伴い大人と子どもがふれ合いながらお互いが愛情を感じ合う場、携帯電話やゲーム機の普及で子ども同士が本気でふれ合い学び合う機会の不足など・・子どもたちを取り巻く環境は私たちが子どもの時とは大きく異なっているように感じられます。
このような社会を作り出してしまったのは私たち大人です。いつの時代でも子どもは純粋な心で生まれてきます。純真無垢だからこそ、社会の影響を受けて良くも悪くも大人へと成長していくのです。しかし、このような社会を変えることができるのも私たち大人なのではないでしょうか。
未来を担う子どもたちに対し、今、私たち地域の大人としてできることは何か?そしてJCができることは何か?
子どもは親の背中を見て育ちます。子どもの教育の原点は家庭にあり、親の心が豊かにならなければ、子どもの心は豊かにはなりません。私たち親世代であるJCは、親として地域の大人として、未来を担う子どもの豊かな心を育むために親の方々と共に学び、そして、子どもたちに、家庭や学校では経験することができない機会の提供を行っていく必要があると考えます。
私たちは、未来の社会を担う子どもたちを、今預かる大人としての責任があります。子どもは私たち大人を映す鏡であり、また、大切な未来を担う宝なのですから。
【ひとづくり・修練】
〜個々の人格を磨き高めることで、
地域から必要とされる次代を担うリーダーを育成する〜
JCには、まちづくりを通じてリーダーシップを学ぶ機会があります。その手法を学び地域において実践していくことは、青年会議所メンバーに課せられた大切な責務であります。しかし、それらの手法は、地域の「ひと」のためにあるのであれば、その手法を学ぶのと同時にその手法を使う側の私たちの「心」を磨いていく必要があるのではないでしょうか。
JCには、仕事や家庭では得ることができない様々な機会を通じて、自然に今までの自分を乗り越える仕組みがあります。興味のないことや苦手なことを通じて、苦しみを経験できる環境があります。その過程の中で、人と人とが真剣に強烈にぶつかり合い、お互いが切磋琢磨されていくことで、他人の価値観を受け入れる寛容さや謙虚さが生まれ、新しい自分の可能性に気づき、新たな考え方や工夫といったことが生まれてくるのです。
私たち個々の人格を磨き高めていくことが、私たちが地域などでその能力を正しく発揮し、地域から必要とされる人材となる上で大切なことであると考えます。私たちメンバー一人ひとりが、自己を律し自分を磨いていく努力をしていきましょう。それは、「まち」にとっても、自身にとっても必ず成長に繋がることなのですから。
【地域から必要とされるJCであり続けるために〜会員拡大〜】
〜『やさしさ溢れる使命感』と『誇り』を持ち、
理事長所信個々が光り輝き魅力的であることで魅力ある仲間を増やす〜
(社)調布青年会議所が、地域から必要とされ続けさらに発展していくためには、会員拡大運動は必要不可欠なことであります。
近年、金融問題を端緒とした経済不況の影響により、JC活動そのものに時間的・金銭的に割かれることが厳しいという声を多く聞きます。しかし、そんな時代であるからこそ、私たちメンバー一人ひとりは、自身の経験から得られるJCの魅力や価値を再認識し、使命感を持って共通の理念のために行動し続けることが大切なのではないでしょうか。
青年会議所は「ひと」の集まりです。その「ひとの力」を結集することが組織としての力に繋がっていきます。Jayceeとしての「やさしさ溢れる使命感」と「誇り」を持ち、共通の理念の基、想いを持って本気で行動する人が多くいればいるほど組織力は高まります。その組織力の高まりは、私たち個々をそして私たちの活動をより魅力的にし、自然と人が引きつけられ、私たちの運動が地域に対してより説得力を増すことに繋がるのです。人は人から影響を強く受け磨かれます。その磨き合う力同士が大きければ大きいほど、私たちの輝きも増し続けるのです。私たちメンバー一人ひとりがJCに魅力と可能性を感じ、メンバー一人ひとりが光り輝き魅力的であれば、人が集まり、魅力的な人が集まるJCは地域から必要とされ続けるのです。
そして、これから新しく迎え入れる仲間に対しては、JC活動で経験する様々な機会の中で、自分自身と向き合い己の弱さや至らなさ、そして、価値を知ることで成長をし、人生の目的に近づくことができることを語りかけていきたいと考えています。
【地域から必要とされるJCであり続けるために〜公益法人制度改革〜】
〜英知と情熱を結集し恐れることなく、
公益法人制度改革に対し実務的積み上げを確実に行い次代につなげる〜
2008年12月に完全施行された公益法人制度改革に関する一連の各種法案のもと、私たち(社)調布青年会議所は、組織の根幹を真摯に見つめ直す機会を得ました。
私たちは、世襲経営者の仲良しクラブ的なサロンではありません。「明るい豊かな社会の実現」を目標に、「社会開発」と「指導力開発」を活動の軸としている公益法人です。
地域から必要とされるJCであり続けるために2011年度は、今後の(社)調布青年会議所が、公益法人制度改革に耐えうる組織となるよう、メンバーの英知と情熱を結集して、定款・各種運営諸規定の整備、制度会計基準の導入など実務的な積み上げを確実に行ってまいります。それと同時に、制度に対するメンバー相互の共通理解を深め、組織の存在意義や理念を再確認し共有する年度とし、次代につなげてまいります。
【おわりに】
私は、調布JCメンバーであることに誇りを持っています。それは、40年という長きに亘り、誇りと理念を持ち行動し続けてきたからであり、そのような先輩方の背中を見て、今なお可能性を信じて諦めることなく不可能なことにでも果敢にチャレンジするメンバーがいるからであります。
私は、その誇りから責任感が生まれ、自己を律する心と他人を思いやる心が生まれると感じています。
最後に、メンバー皆とともに歩む二度と来ないこの一年を大事に想い、メンバーとともに熱く楽しみながら駆け抜けてゆきたい。